スーパーで見かける「鰤(ぶり)」や「鱈(たら)」、読めるけどどうして「師」や「雪」という字を使うんだろう?
なんて思ったこと、ありませんか?
魚へんの漢字には、昔の人が魚の特徴や生態をもとに名付けたものが多く、実は奥深い世界が広がっているんです!
例えば、「鰯(いわし)」はなぜ「魚+弱」なのか?「鰻(うなぎ)」の漢字に隠された秘密とは?
知ると人に話したくなる、魚へんの漢字の由来や面白い雑学を紹介します♪

介護施設などのレクでもおすすめ!クイズ形式にしても面白いかもしれません♪
見た目や生態、イメージそのまんま!納得の魚へん漢字
鯖(さば)
「魚+靑(青の旧字体)で構成されるサバ。
これは本当にそのまま!ズバリ、背中が青いからです!
また、「サバ」という名称に関しては、「歯が小さいことから『小歯(さば)』と呼ばれていた」ことに由来する説もあります。
ちなみに3月8日はサバの日で、妖怪の天狗の苦手なものはサバだそうですよ♪

もしも天狗にさらわれそうになったら、「鯖食った、鯖食った」と唱えましょう!
鰹(かつお)
「魚+堅」と書くカツオは、カツオの堅いイメージが由来です。
生のカツオ自体は特段堅くはありませんが、干物にした時の堅さを想像する人が多かったためこのような漢字が当てられました。
カツオは傷みやすい魚のため、鎌倉時代以前は生食できず干して堅くしていたことがその背景にあります。
また、読みについては、堅い魚→カタイウオ→カタウオ、と変化していき、「カタウオ」が転じて現在の「カツオ」と呼ばれるようになったそうです!
カツオは「松魚」と書くこともありますが、こちらは「鰹節の切り口が松の木の年輪に似ている」ことや、「鰹節の質感や色が松の木に似ている」ことが由来です。

ちなみに、鰹節は「世界で最も堅い食品」としてギネスに登録されています♪
鯵(あじ)
「魚+参」と書くアジには、様々な説があります。
たとえば・・・
- アジの旬が3月であることから(3を大字で書くと『参』)
- 「美味しくて参ってしまう」ことから
- 多くの群れを成す魚であることから(参集)
また、「アジ」という名称の由来は「味が良い魚だから」とのことです!
アジは漢字の由来も読みの語源も、非常に分かりやすくシンプルで良いですね♪

昔の人がいかにアジが大好きだったかがよく分かりますね!
鰻(うなぎ)
「魚+曼」と書くウナギは、細長い体を持つことで、長く伸びた草木のツルを表す「曼」という漢字が当てられました。
「曼」には「つや」という意味も含まれ、ウナギのつやつやした体を表しているようです。
また、昔は「ムナギ」と呼ばれており、現代の「ウナギ」へと名称が変化していきました。
「ムナギ」の語源には諸説あるようです。たとえば・・・
- ウナギの胸が黄色いことから(胸黄)
- 円筒のような形が木材(棟木)に似ていることから
- 体が長い生き物であることから(身長 ※昔は「身」は「ム」と読んだそう)
また、そもそもムナギではなく、「鳥の鵜がウナギを飲み込むのに難儀していること(鵜難儀(うなんぎ)→ウナギ)」から来ているという説もあります。

個人的には、一番面白いので「鵜なんぎ」説を推していきたいですね。難儀している鵜には申し訳ないですが……。
鮃(ひらめ)
「魚+平」と書くヒラメの由来は、もうお分かりですね。
そう、ズバリ、「体が平たいから」です!!
「ヒラメ」という名称は「平たい魚(め)」「平らな体に目が並んでいる」ことから来ているようです。
ちなみに、相方の「鰈(カレイ)」は「葉や蝶のように平たい体」が由来ですが、昔は「ヒラメ」と「カレイ」を区別していない地域が多かったようですよ。

「左カレイに右ヒラメ」、たまにどっちがどっちだったか分からなくなります。
鰆(さわら)
「魚+春」と書くサワラは、「春に産卵のため瀬戸内海に集まること」が由来であり、「春を告げる魚」と言われていたそうです。
また、細長い体であることから「狭腹・小腹」と書くことも。
「サワラ」という呼び名も、「狭腹・小腹(サ・ハラ(ワラ))」が語源のようです。
そんなサワラの旬は春ですが、12~2月の真冬に獲れるサワラを「寒鰆(カンザワラ)」と呼び、カンザワラはマグロの中トロにも匹敵する高級魚だそうです!
春と冬でまた違った味わいになるサワラ、なんだかお得な魚ですね♪

ちなみに、関東では寒鰆、関西では春の鰆を好むようです。理由は調理法や味覚の違いだとか。
鯳(すけとうだら)
「魚+底」と書くスケトウダラは、まさにそのまま!海の低層を泳ぐから。
漢字は読んで字のごとしですが、「スケトウダラ」という名称の由来には諸説あります。
- 佐渡近海で多く獲れることから(佐(スケ)渡(ト)鱈(タラ))
- 獲るのに人手が必要なことから(助っ人タラ)
- 「鮭の鱈」→「サケタラ」→「スケタラ」と変化した
「鱈(たら)」は身が雪のように白いことや雪の降る季節に旬を迎えることなどが由来ですが、タラの仲間はわりと分かりやすい漢字を当てられているのかもしれませんね。

スケトウダラは、スケソウやキジダラなど、呼び名に地域差があります。みなさんの地域ではなんと呼ばれていますか?
え、それでいいの!?魚に怒られそうな由来の魚へん漢字
鰯(いわし)
「魚+弱」と書くイワシは、陸にあげるとすぐに弱って腐りやすいことが由来です。
昔は「弱」の読み方そのままに「よわし」と呼ばれていて、それが次第に現在の「いわし」に変化しました。
ちなみに、ロシア語でイワシは「иваси(イヴァシー)」といい、これは日本語からの借用とのこと!
ただ、「сардина(サルディーナ)」の方が一般的なようで、人によっては通じないこともあるため注意が必要です。

弱いのは事実かもしれませんが、少し可哀想な気もします……(笑)
鮫(さめ)
「魚+交」と書くサメは、なんと、「交尾をする魚である」ことが由来とのこと!
交尾をする魚類は珍しのでこの字を当てられたようですが、あまりにも直球で、サメからしたらちょっぴり恥ずかしいかもしれません。
また、「サメ」と呼ばれるようになったのは「体のわりに目が小さいこと(狭目・小目)」から。
たしかに獰猛な見た目とは裏腹に、つぶらな可愛らしい瞳をしていますね♪
実は、サメも呼び名が地域によって異なり、関東ではサメ、西日本ではフカ、山陰ではワニと呼ばれているそうです。
「フカヒレ」の「フカ」は西日本でいう「サメ」のことだったんですね!

ワニ料理も、初めて耳にしたときは「ワニって食べられるんだ!?」と幼心に驚いたものです。
鮭(さけ)
「魚+圭」と書くサケですが、「圭」は怒りを表す漢字で、もともとは「鮭」は怒るとプクーッと膨れるフグに当てられていた字だそうです。
サケにはその生臭さを由来とする「魚+生」という字がありましたが、「生臭い」では体裁が悪いため、似た字である「鮭」に変更したという説があります。
また、「サケ」という名称は、身が柔らかく簡単に裂けることや、アイヌ語や古語が変化した説など様々な由来が伝えられているようです。

サケもフグも不憫ですね……。
カッコよすぎ!?いろんな意味で強そうな魚へん漢字
鯱(しゃち)
「魚+虎」と書くシャチは、まさに虎のように獰猛なことが由来のようです!
別名「海の王者」とも言われますが、水族館ではショーなどで愛らしい姿を見せてくれ、とても賢く人気の高い海獣ですね。
「シャチ」という名称は、「逆立ち(サカダチ)」から転じて「シャタチ」→「シャチ」に変化していったようです。
また、シャチは「鯨(くじら)」や「鯆(いるか)」と同じように、哺乳類でありながらも魚へんの漢字が当てられています。

「鯨(くじら)」は「数字の単位『京(兆の上)』のように大きい」ことから、「鯆(いるか)」は「育むという意味のある甫=子を母乳で育てる」ことが漢字の由来だそうです。
鰰・鱩(はたはた)
「魚・神(雷)」と書くハタハタは、旬が雷が鳴る季節であることが由来だそうです。
さらに、「雷は神様(霹靂神(はたたがみ))が鳴らしている」という考えから、「鰰」という字が当てられました。
また、普段は姿を見せないのに正月前に大群で押し寄せてくるため、神様の恵みであるからという説も。
「ハタハタ」という呼び名は、雷が鳴るという古語「はたたく」から来た説や、「霹靂神(はたたがみ)」から来ているという説などがあります。

「ハタハタ」という名前自体は可愛らしいのに、漢字の由来がカッコよすぎます!
食べると出世!?縁起の良い魚へん漢字
鰤(ぶり)
「魚+師」と書くブリの漢字の由来には、様々な説があります。
- 12月(師走)が旬であることから
- 出世魚の成魚ということから(先生、師である)
- 中国では「老魚」と呼ばれており、年寄りという意味を持つ「師」を当てたことから
また、「ブリ」と呼ばれる由来も「あぶら」→「ぶら」→「ぶり」と変化した説や、雪の「降り」積もる季節に旬を迎える説など、色々ないわれがあるようです。
そんなブリですが、先述のように出世魚として有名な魚ですね!
成長するに従い名前が変化していきますが、関東と関西では名前の変遷が違います。
関東・・・「ワカシ」→「イナダ」→「ワラサ」→「ブリ」
関西・・・「ツバス」→「ハマチ」→「メジロ」→「ブリ」
生まれてからずっと違う名前なのに、最終的な成魚の名前はどちらも「ブリ」になるのが不思議ですね!
ちなみに、呼び名が変わるのは生息地域や大きさなどによる商品価値の差を鑑別するため。
そして、江戸時代に武士が元服や出世などの際に改名する風習に因み、「出世魚」と名付けられるようになったそうです。
また、そんな「出世魚」ですが、縁起が良いと言われるのはなぜでしょうか?
それは、「成長とともに呼び名が変わる=成功、出世」を表しているから。
おせち料理や節句など使われるブリには「成長して立派になってほしい」という想いが込められているのです。

日本語って、とっても不思議で素敵な言語ですよね♪
鱸(すずき)
「魚+盧(ろ)」と書くスズキですが、この「盧」という字には「エラの並び方が特徴的なこと」や「黒いウロコ」という意味があると考えられています。
「スズキ」と呼ばれるようになった由来は、「身がすすぎ洗いをしたような白であること(すすぎ→スズキ」や、「ウロコがすすけた色であること(すすけ→スズキ)」などの説があります。
また、スズキもブリと同じように出世魚で、スズキは一般的に以下のように名前が変わるそうです!
関東・・・「コッパ」→「セイゴ」→「フッコ」→「スズキ」
関西・・・「コッパ」→「セイゴ」→「ハネ」→「スズキ」
愛知・・・「コッパ」→「セイゴ」→「マタカ(マダカ)」→「スズキ」
佐賀・・・「ハクラコ」→「ハクラ」→「ハネ」→「スズキ」
スズキはブリほど地域差があるわけではないようですが、スズキの前段階と、佐賀県が成魚になる前までまるっきり違うのが面白いですね。
スズキが縁起が良いと言われる理由は、「出世魚である」だけでなく、「白い身が『純粋』『はじまり』などを連想させ新年に相応しい色合いであるから」。
また、平清盛が乗る船にスズキが飛び込んできて、その後太政大臣出世したことから縁起の良い魚と評されることも。

スズキは夏が旬ですが、冬の産卵期を迎えた大物は「腹太(ハラブト)」と呼ばれるそうです!
鯛(たい)
「魚+周」と書くタイは、日本全国いつでも(周年)獲れることや、周防の国(山口県)でたくさん漁獲されていたことが由来です。
「タイ」と呼ばれるようになったとされる理由もいくつかあります。
- 「平魚(タヒラウオ)」が略された
- 高位を意味する「大位(タイイ)」から
- 朝廷が召し上がる魚「廷の魚(テイノウオ)」から
タイは、「縁起の良い魚とは?」と聞かれて真っ先に思い浮かべる方が多いと思います。
そんなタイは「タイ」という名前の由来まで素敵ですね!
また、タイが縁起が良い魚と言われている所以は、「めでたい」という語呂合わせや、数十年生きる長寿の魚であること、体表の赤色が魔除けになることなどからと言われています。

鯛の体内には、「鯛の鯛」と呼ばれる鯛の形をした骨があるそうです!鯛の鯛には金運上昇、厄除けのご利益があるとのこと。ぜひ探してみてくださいね♪
まとめ
いかがでしたか?
魚へんの漢字には、その魚の特徴や歴史、名付けた人の思いや魚のイメージがぎゅっと詰まっていて、知るともっと魚が好きになれますよね♪
今回紹介した漢字以外にも、「鮎(あゆ)」は昔「年魚」と書かれていたことがあるとか、「鯨(くじら)」はもともと魚だと考えられていた……など、魚や漢字にまつわる面白い雑学がたくさん!
ぜひ、魚の名前を見かけたら、「この漢字にはどんな意味があるんだろう?」と考えてみてくださいね!
新しい発見があるかも♪

漢字の奥はとっても深い!知れば知るほど面白いのでおすすめです♪
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